88歳でも姿勢は変わる|強い側弯・後弯と腰を反らす辛さに悩まれた患者様の症例
皆さんこんにちわ。浜松市の整骨院・整体院で整骨・整体と機能改善リハビリで「痛み」や「不調」の改善サポートをする院長の西です(笑)
さて今回は、“症例から感じること”についてお話させて頂きます。
「腰を反らすのが辛い」
「姿勢がかなり曲がってきた」
そんなお悩みで来院された、88歳の患者様の症例をご紹介します。
今回の患者様は、背中の後弯や側方への身体の偏りが強く、骨盤や背骨の配列にも大きな姿勢の崩れが見られる状態でした。
さらに、年齢による筋力や身体機能の低下も著しく、一般的な若い方への施術や運動方法をそのまま当てはめることはできません。
最初に姿勢を確認したときには、
• 頭部が大きく傾いている
• 背骨の左右差が強い
• 胸腰部の後弯が強い
• 骨盤が傾いている
• 左右の肩の高さに差がある
• 腰を伸ばそうとしても動きにくい
• 全体的に身体を支える力が低下している
など、複数の問題が重なっていました。
正直なところ、非常に難しい症例だと感じました。
「年齢的に仕方がない」と諦めてしまう前に
88歳という年齢を考えると、
「ここまで姿勢が変わってしまったら、もう変わらないのでは?」
そう考えてしまうのも無理はありません。
特に側弯や後弯など、長い年月をかけて生じた身体の変化は、単純に筋肉を緩めたり、背骨を動かしたりするだけで元通りになるものではありません。
また、高齢の方の場合は、
骨・関節・筋肉・バランス能力・感覚機能など、身体のさまざまな要素を考慮する必要があります。
そのため、今回も「無理に姿勢を真っ直ぐにする」という考え方ではなく、患者様の身体の状態を細かく確認しながら、できることを少しずつ積み重ねていきました。
最大限の注意を払いながら身体の動きを引き出す
施術では、身体の状態を確認しながら、
• 背骨周辺の動きの改善
• 関節可動域の改善
• 筋肉の緊張を緩める施術
• 骨盤周囲の動きの調整
• 身体が動きやすくなるための感覚刺激
などを組み合わせていきました。
もちろん、88歳という年齢ですから、強い刺激を加えれば良いというものではありません。
むしろ大切なのは、その日の身体の状態を見ながら、過剰な負担をかけずに身体が動ける範囲を少しずつ広げていくことです。
そして施術を継続する中で、少しずつ姿勢に変化が見られるようになりました。


施術前
写真左側が初期の状態です。
頭部の傾き、肩の高さの左右差、背骨から骨盤にかけての姿勢の崩れが目立ちます。
特に、身体全体が一方向へ偏るような姿勢になっていました。
施術を継続した状態
中央の写真では、最初に比べて側方への偏りが軽減し、肩の高さにも変化が見られます。
さらに施術を重ねることで、身体の中心が少しずつ取りやすくなってきました。
現在の状態
右側の写真では、左右の肩の高さが近づき、骨盤の水平性や身体の中心にも変化が見られます。
背骨そのものの構造的な変形が短期間で「正常になった」ということではありません。
しかし、
「身体全体として、以前よりバランスの取れた姿勢を取りやすくなった」
という変化は、写真からも確認することができます。
ここは、今回の症例で非常に大切なポイントです。
実際に患者様から歩きやすくなったとお声を頂きました。


姿勢改善は「骨だけ」の問題ではありません
姿勢が崩れていると、
「背骨が曲がっているから姿勢が悪い」
と考えてしまいがちです。
もちろん、骨格や関節の状態は姿勢に大きく関係します。
しかし、人間の姿勢はそれだけで決まっているわけではありません。
私たちは常に、
目から入る情報、足の裏から入る情報、関節や筋肉から伝わる情報、内耳にある前庭器官からの情報などを脳で統合しながら、身体の位置を調整しています。
つまり姿勢を考えるときには、
「骨格をどうするか」
だけではなく、
「身体が今どこにあるのかを、脳がどう感じているのか」
という視点も重要だと考えています。
体性感覚や前庭感覚への刺激も大切
今回のような高齢の患者様では、単純に筋肉を強くすることだけが正解とは限りません。
筋力トレーニングができる状態であれば、もちろん運動療法を組み合わせた方が、身体を支える能力を高めるうえでは有効な選択肢になります。
ただし、今回の患者様のように年齢や体力などの理由から、積極的な運動療法を十分に行うことが難しいケースもあります。
だからといって、
「運動ができないから、もう何もできない」
ということではありません。
筋肉や関節への刺激だけでなく、身体の位置を感じる体性感覚への刺激や、バランスに関係する前庭感覚への刺激なども考慮しながら、身体が動きやすい状態をつくっていく。
そうした構造的なアプローチと機能的なアプローチの両方から身体を見ていくことが、高齢の方のケアでは特に重要なのではないかと感じています。


「ニューロリンク」という考え方
身体を動かすとき、筋肉だけが勝手に動いているわけではありません。
脳と神経、感覚器官、筋肉、関節などが情報をやり取りしながら、私たちの姿勢や動きをコントロールしています。
そのため当院では、単に「硬い筋肉を緩める」「動かない関節を動かす」だけではなく、
感覚入力 → 脳での情報処理 → 身体の動き
というつながりも意識しています。
いわゆる「ニューロリンク」の考え方です。
身体の構造を整えるだけでなく、身体が自分自身をどう感じ、どう動かしているのかという機能面にも目を向ける。
これが、年齢を重ねた方の姿勢や動きを考えるうえでも大切だと考えています。
88歳だからこそ「できること」を探す
今回の症例を通して、改めて感じたことがあります。
それは、
「年齢だけを理由に、最初から変化を諦めてしまうのはもったいない」
ということです。
もちろん、88歳の身体を20代の身体と同じように変えることはできません。
長年かけて形成された側弯や後弯などの構造的な変化が、施術によって完全になくなるわけでもありません。
だからこそ、
「完全に真っ直ぐにする」
ではなく、
「今の身体の状態から、少しでも動きやすくする」
「少しでも楽に姿勢を保てるようにする」
「少しでも身体のバランスを取りやすくする」
という視点が重要だと思います。
その小さな変化を積み重ねていくことが、結果として大きな違いにつながることがあります。


運動ができなくても、施術でできることがある
本来であれば、施術に加えて適切な運動療法を行えると、さらに身体機能の改善を目指しやすくなります。
しかし、すべての方が十分な運動をできるわけではありません。
年齢、体力、痛み、バランス能力などによって、できることは一人ひとり違います。
だからこそ、
「運動ができないから何もしない」ではなく、その方ができる方法を探す。
今回の患者様の場合は、施術を中心に身体の状態を整えながら、関節や筋肉、感覚への刺激を積み重ねることで、少しずつ姿勢の変化を引き出すことができました。
これは私自身にとっても、とても印象に残る症例でした。
まとめ|「もう年だから」と諦める前に
側弯や後弯が強く、長年かけて姿勢が変化している場合、短期間で身体を大きく変えることは簡単ではありません。
それでも、
年齢に関係なく、身体には変化する余地があります。
大切なのは、年齢だけで可能性を決めつけるのではなく、
• 骨格や関節の状態
• 筋肉の状態
• 関節可動域
• 筋力や身体機能
• 体性感覚
• 前庭感覚
• 脳と身体の情報伝達
などを総合的に考え、その方に合った方法を探すこと。
「もう年だから仕方ない」と諦めてしまう前に、今の身体の状態から何ができるのかを考えてみる。
今回の88歳の患者様の変化は、そんなことを改めて感じさせてくれる症例でした。
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